アイチは櫂のドラゴンに途中まで乗せてもらったが、人の目が多くなりそうなエリアでは
AL4連合国の飛行機で移動していたが、国の重要人物がレン側はほぼ来ているが国はどうなっているのか気になった。

「そういえば、レンさん。大丈夫なんですか?・・国の方は」
櫂の方は三和がいるので心配はないが、レンのやり方に敵は多いはずだと心配すると。
レンはにっこりと笑って、こう答えた。

「心配ご無用です、僕には信頼している部下がいますから」
テツはアイチとレンにトロピカルジュースを作りながら、今頃書類に埋もれている彼のことを思い出す。
いくらなんでも、押し付けすぎだろうと、内心思っていたが。

『君なら安心して国を留守にできますよ、キョウ』

というレンの一声で「俺様に任せておけ!!」とヒーロー漫画の主人公の様なポーズをしていたが・・。



「ちっ・・くしょーーーー俺は絶対に王なんてならねーーーぞ!!」
半べそかきながら、書類をたった一人で片づけつつ、国を纏めるキョウは・・実は凄かった。
レンに騙されたような気がしつつも、意外にも仕事を途中で放棄などせずにサインをしつつ執務室で叫んでいた。






大会も近くなり、アイチもゴールドパラディンをライドするのに恥ずかしがらなくなり初めていた時
通信機器では敵に知られたしまうと、情報交換も兼ねて宮地組とクレイ組は

バカンスで知られた、リゾートアイランドにきていた。

「うわっ・・凄い人」
連休を利用して、櫂のドラゴンで一っ跳び。
先に到着していたミサキ達と合流をする、息抜きのためと光定達が背中を押して
さらに飛行機までチャーターしてくれたのだ。

「アイチ―、こっちだよー」
此処なら宮地のアイチをする者はいないと白いワンピース姿と麦わら帽子姿をしてる。
後ろの二人もラフな姿をしており、さっそくセレブ女子の視線を独占していた。

「よぉ、アイチ。あの二人のお守りは大変だろう・・今日は俺に任せて羽を伸ばせ」
同情するように三和に言われ、確かにその通りだと心の中に住むアイチは納得している。
だがアイチにとって夏の日差しは天敵だ、小さい頃うっかり、日焼け止めを塗るのを忘れて遊んでいたら
肌が真っ赤になって、泣きながら櫂に手を引かれて帰った記憶がある。

「ところで、女子は皆は水着持ってきたけどアイチさんは?」
エイジはすでにミサキ・エミは水着に着替えており、女子の中ではアイチのみ水着は着ていない。
やはり日焼けするのがコワイのたろうか、と思いきや。

「実は・・・」
突然、突風が吹いてアイチのワンピースが大きくめくれて
運悪く胸の辺りまで裾が前髪に触れるまで広がり、中に来ていたピンクのビキニが丸見えに。

濡れてもいいように下に着たのだが、それを見てしまった男子は一時停止。

「わー、可愛いかったでした。もう一回・・」
などといつつ、アイチのワンピースの裾を掴み、捲ろうとするレンに櫂がカードケース入れの角で思いっきり叩いた。
下は水着だが、それを知らない赤の他人から残念なイケメン変態の卑猥な行動である。

「レン様、水着なら私のを!」
どんっと隣にいたミサキの肩を押して、アイチの貧相な体よりも豊満で磨き上げたボディをと攻めるが。

「ちょっと痛いんだけど!!」
「うるさいわね、貧乳!!」
ほぼ同じバストサイズのミサキに貧乳はないだろう、女子二人の言い合いに男子は完全に蚊帳の外で
一時、火花を散らして睨み合った後、どっちがスタイル抜群か、ビーチバレーで勝負だとボールをレンタルしに走る。

「二人とも楽しそうですねー」
「えっ・・・・そうですね」
そうなのかと、アイチは疑問に思うが昔のバレー漫画みたいに
二人の白熱した連続ボールラリーに黒山の人だかりができていたとか。

麦わら帽子を被りにがら、ワンピースで歩いていると何処からか聞いたことのある声が。

「おい、こんなところに格安G3カードがあるって本当かよ!」
「間違いないです、大会優勝のためにもなるかみの・・」

(ナオキ君、シンゴ君ーーー!!)
リゾートアイランドにふさわしいアロハシャツ姿の二人だが、バスを降りたところで偶然鉢合わせし
すぐに櫂の後ろに隠れたが、隙間から跳ねる特徴あるアンテナのせいで。


「・・あれ、アイチ?」



なんで、こんなところにーーーー!!!
今のアイチは白いワンピースに、乳押さえバスト不在という最大のピンチに前列の櫂とレン、三和、井崎がガードし
後ろではエミとカムイから、短パンとパーカーを受け取って急いで着替えているが
焦っているせいか普通に着替えるよりも何倍も時間がかかる。

「おい、どけって、アイチだろー」
『・・・・・・・・』
ナオキが右に移動すると、男子リアガードも右へと移動。
レンはにこやかに、櫂は無表情に、井崎・三和はわざとらしく笑いながら時間を稼ぐ。

「あっ・・ナオキ君。こんにちは偶然だね」
着替え終えたアイチが、隙間から顔を出してくる。
それを合図に何事もなかったように、男子リアガードは解除。

「おう、ところでこいつらは?」
櫂とレンは知っているが、三和や井崎達は知らないので事情を隠しつつ自己紹介していると三和の紹介でシンゴが反応。

「もしやっ、トシキ・櫂・ドラゴンエンパイヤの片腕、タイシ・三和では?」
「あっ・・・まぁ・・そうだけど・・」
ネハーレンのカードを主に使用し、かげろうのヴァンガードとしては櫂に次ぐ実力の持ち主か感動し、握手をしていると。

「ところで姫騎士王様は、ご一緒では?」
同じ国に住んでいるという情報を、ネット仲間から入手しており、眼鏡の縁を人差し指で上げる。
「姫騎士王?」

誰のことだと、全員が首を傾げていると暑い日差しの中、決着のつかないビーチバレーをしていたミサキが戻ってきた。
エミからドリンクをもらって一気飲みをして、アイチからタオルを受け取っている。

「アイチの宮地でどんなことしているか、興味あるじゃん。いろいろ教えてくれよ」
すでに水着にシュノーケール・ゴーグル付きの森川に言われ、海の見えるベランダで
シンゴは熱く、三強の三人について語り始めた、これが我慢大会になるとか知らずに。



「・・・と、前こんなところですが・・皆さん、顔色が赤いですけど日焼けました?」
全員、下唇を噛んで笑いをこらえている。
ミサキも涙目で、三和なんて前に屈んで笑いを耐えているが、息もできず半死しそうである。

こいつは先の戦いで、戦った俺達ほぼ全員を爆笑死させる恐ろしい男だと認識。

カムイ率いる三人は互いに尻を抓って大爆笑を堪えている状態、普通身内がこんな話を聞けば、こんな感じになるだろう。
森川は「恐い奴もいるものだな」と、感づいておらず、井崎は涙目で笑いを堪え中。

「とっ・・・ところで、お前ミーハーだよな。会ってもないのに人間にそこまで入れ込むなんて」
「失礼ですね、僕は一度だけですが会ったことがあるのですよ!!」

「マジか、何処で何処で!!」
メロンソーダーを飲んでいたナオキも、それは初耳だと椅子から体を乗り上げる。
アイチは三強に名前が上げられてからシンゴに会っただろうか?と記憶の引き出しを全て開けても覚えがない。

そもそも、顔を合わせて会話をしていたのなら、最初の段階で思い出すはずだ。



再び、シンゴの語りが始まる。
それは今から数か月前、クレイアカデミーがまだ休校扱いの時だった。

とある雪山近くにむらくもクランのレアなカードが安値で売られていると聞いて、寒い中、そのショップに行く途中
突然雪崩が発生し、雪は大きな音を立ててシンゴに、村を埋もれさせようと迫ってくる。

「もっ・・もう、だめなのですーーー!!」
むらくもは戦闘に長けておらず隠密系特徴を発揮するクラン。
ヴァンガードでありながら、何もできないとただ衝撃に耐えようと目固く瞑った時。

誰かがシンゴの上を通過していく、その人物はカードを三枚空へと投げる。

「マジェスティ・ロードブラスターにスペリオルライド!!」
太陽の光かまぶしてよく見えなかったが、確かにあれは三強の一人『白青の姫騎士王』だった。
そして華麗に二つ剣を使い雪崩の雪を全て蒸発させるという、神業で村を守ったのだ、その光景は村人も見ており

まるで天から舞い降りる神のように地上に降りてくると、一気に人も集まってきた。
近くで是非アイチの姿を見たかったのだが、村人の壁は厚く突破できない。

暫くして何処からか二人組の男がやってきてアイチを連れて行ったとか、村娘いわく、かなりのイケメンだったとか。
特に亜麻色の男が、とかなんとか。

「へぇ・・・雪山ねぇ・・」
隣にいるアイチを三和は、身に覚えがあるように目でにやけながら見ている。
室内にいるのにまるで炎天下にいるかのような、汗が流れてくるのは何故だろう。




シンゴの目撃情報は、本物だった。
休校の間、あまりにも退屈だったので櫂が昔、修行のためと雪山に行ったことを思い出し
憧れの人と同じことをしたいと、一週間分のカップラーメンと遭難した時用のチョコ板の束をリュックに詰めて
絶対に反対しそうな櫂とエミに内緒で、ソウルセイバーの翼で、とある雪山へ。
勿論、シズカにだけは言っておいたが。

「よしっ、頑張るぞ!」
雪山をうぃんがるとふろうがるを連れて進んでいると大きな音が聞こえてきた。
ふもとの村に雪崩が押し寄せているのを見て、荷物をふろうがる達に任せて
雪原の中を、一気に走りぬけて、吐く息も白い中でマジェスティにスペリオルライドし、雪崩から村を救う。

その後、村人に何者だとか、有名なヴァンガードなのかとか質問責めにされて困り顔をしていると
「ようやくみつけたぞ」と聞き覚えのある声に振り向けば

オーバーロードにライドした櫂とネハーレンにライドした三和がいた。

櫂に至っては、相当怒っているのか、アイチに後ろにいた小さい子供が櫂の顔見ただけで泣き出した。
アイチも櫂よりも強い(はず)のだが、逃げ腰でいる。

「お前の母ちゃんが、雪山で修行するほど大人になったのよ、とか・・自慢してきて・・・・さ・・」
頭を掻きながら、三和は隣に櫂に目を逸らしながら教えてくれた。

あれほど内緒だって言ったのにーーー!!
絶対に危険だとか、レンだって一応倒したランクのヴァンガードに入るのだし、雪山くらいで死んだりしないのに櫂は。

「修行に山に行くなら、春にしろ」
「それって、ピクニックじゃない!!」
飯はどうするのかという三和に、カップめんとチョコ板を見せ、櫂に壮大な溜息を吐かれ
大人の姿なので、少しは重いはずなのに、俵みたいに担がれて強制送還。

「いやーーっ、離してーー僕は修行するんだー!」
「俺達決して、人攫いじゃないから・・それでは」
後ろから三和がアイチのリュックを背負って、頭を下げて空へと先に飛んだ櫂の後ろへと続いていく。
帰った後、エミに絶対に遭難するからと説教を喰らったし、櫂には呆れられるわで、ひどい目にあった思い出しかないが。

「それで、姫騎士王にもう一度会って・・・・サインをもらうのが夢です!!」
常に持ち歩いている色紙を嬉しそうに天高く上げて、接点のありそうな三和に頭を下げるが
サイン、つまり名前を書かなければならないのが『白青の姫騎士王』などと書くわけにもいかないが

当人の、アイチの名前になるのだから、バレるし書けない!!
三和はどうにか上手く「今、仕事で忙しくて会えない」と嘘をついたが

三強ならばはぐれユニットの討伐で忙しいのであろうと
残念そうにしている姿に、正体を知る全員の良心は痛い。















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