港では、明日の漁備えて船の整備をする漁師達。
誰だろう、漁師の一人が波を見て。

「変な・・・波だな。嵐でもきそうな」
「気のせいだろう、この間でかい戦争があったんだ。暫くは・・」
額の汗を首にかけているタオルで拭いて、今日の夕飯はなんだろうと夕日に染まった空を眺めていると

ゆらっ・・・と、波が揺れると同時に、巨大な何かが姿を現した。


「なっ・・・・・・うわぁぁぁぁ!!」

波音に叫び声は消され、男の悲鳴は誰にも届くことはなかった。









「ようやく、静かになったぜ」
学校の帰り道、念のためにとカムイはアイチの護衛のため、夕日を背にして歩いていた。

「そうだね、これで生徒会の仕事にも集中できるよ」
最初やる気はなかったが、なんでもこなして自分の力に変えようと前向きに考えることにしたアイチの手には
生徒会の仕事に関する書類の束が握られていた、こんな自分にできるかどうかは心配だが
これも一人前のロイパラになるためだと、思えば辛くなどない。

「俺も生徒会の役員ですし、がんばまし・・・はっ・・・八クシュ!!」


ドガンッ!!


カムイのくしゃみと共に、背後の爆発が起きる。
「俺のくしゃみが世界を滅ぼした!!」と、ぽかんとしているカムイだが、さっきまで優しげで穏やかだった顔が変わり
アイチは状況を素早く理解し、凛々しく構える、爆発した方向を見た。

「あれは・・・!!」
見たこともない姿のユニット達が、初音島を襲っている。
暫くは平和が続くと思っていた生徒達も、悲鳴を上げて逃げ出していく。

「アイチお姉さん!!」
「・・・、行こう」
二人は同時に走り出し、高くジャンプする。

「俺様の声が天命だ!!ブラウクリューガーをコール!!」
「ライド!!」
ブラスター・ブレード、ソウルセイバー・ドラゴンの二枚を同時ライドし、空へと舞い上がる。
ブラウクリューガーの肩に乗り、街の状況を見下ろすと、あっちこっちの場所で火事が起きていた。

「ひでぇ・・」
「・・カムイ君、あそこ!!」
アイチの指差す先に、アマテラスにライドしたミサキが戦っていたが大分苦戦している。
相手の姿は、驚いたことにカムイと同じぐらいの少年だった。

「くっ・・・・」
立っているのが、やっとなほどのダメージを与えられた、ミサキ。
これまでか、と・・本気で最悪の結末を予想してしまう。

「弱いですね、あの有名なミサキ・戸倉・キャピタルなんですか・・・期待して損しました」
スッと手を前に出し、横にいたユニットにトドメを刺すように命じ、巨大な左目にはめられ砲口に、光が集まっていく。

「させるかーーーー!!」
カムイとアイチが、ミサキの前に守るように降り立つ。
すると少年は、アイチの姿を見て、「ようやく来ましたか・・、騒ぎを起こしたかいがあります」と笑っていた。

「僕をおびき出すために・・こんなことを・・!」
手には白い剣を握り、少年と向かい合うが彼の周りにまとわりつ強いている黒い霧のせいか顔を隠している。
目を細め、どうにか顔を確認しようにも夜でもないのに暗い、この霧は何なんのだろうか。

(この霧・・前にも見たことがあるような)
夢の中で、恥ずかしくて言えないし、ただの夢だ。
でも、感覚は正直だ、感じたことのある気配だと、危険信号を発し続けている。

「・・・カムイ君、ミサキさんをお願い」
そう言うと、剣を手に少年と戦う。
雰囲気からして、戦うことは避けられないそうにない、襲撃を仕掛けてきたのが理由もわからないが
これ以上被害が拡大する前に、倒さなくては。

「行け、モノキュラス・タイガー!!」
「させない!」
バサッと、黄色の羽をたたむと、剣を天高く上げた。

「ピンポイントバースト!!」
少年が呼び出した、ユニット達をたった一撃でアイチは倒していく。
悔しそうに舌打ちをする音が聞こえる、アイチの青い瞳はまっすぐすぎて、彼らには眩しすぎる。

「やはり、お前らではダメか、下がれ・・・」
深く帽子をかぶった男が前に出た、左右には同じく帽子を被った腹の見える服からして少女の二人が控えている。

「・・・・?」
悔しそうに後ろへと下がる、彼の瞳を見た瞬間、今まで感じたことのない寒気に襲われる。
決して寒いわけではない、これは恐怖だ、この目の前にいる男に対しての。

「やれ、レヴァン!!」
剣を持った青黒い鎧に身を包んだ騎士が、激しい剣激でアイチを追い詰める。
まるで光定、それ以上の、受け止めるのがやっとなほどだ。

「ほぅ・・、レヴァンの剣を受け止めるとは少しはやるようだな。
そうでなければ闇の先導者を倒したとは考えられないが

此処までだ、アルゴス、テレサ」

二体のユニットを呼び出すと、しかし彼らはアイチではなく駆けつけたエミ達だ。
彼らにはこちらには気付いていない、振り向くがもう遅い・・・攻撃は発射され・・エミ達に直撃。

赤黒い爆発が起きる。

「やりました、さすがは蒼龍の子ですね」
嬉しそうに、はしゃぐ少女の一人。

「・・あの・・・」
なのに、嬉しそうにしていない蒼龍の子と呼ばれる少年の顔は、煙が風に吹かれ消えてから理解した。


「・・・あれが、マジェスティ・ロードブラスター!!」
エミ達を守るように、黄色の障壁で彼らの前に立つのは
レンを倒した最強のヴァンガードにしてアイチの未来をイメージした姿。

左右に黒と白の剣が浮遊し刃先をレオン達に向けた。
風に揺れる青い髪、後ろにいた井崎は無意識に生唾を飲む。

「大丈夫ですか?」
「おっ・・・おう・・ありがとな・・」
声は、大人の女性らしいソプラノだが中身はアイチのはずなのに、井崎は異性と意識してしまうのは何故だろう。
左右に、光と闇の騎士の持つ剣を展開させる。

「轟く波紋 ジノビアスにライド」
まるで海軍の制服のような服に変化する、巨大な剣を手にアイチと激しくぶつかる。
アイチも二つの剣で応戦、援護しようにも誰も、その戦いに圧倒され、桁が違うと誰もが瞬時に理解した。

「貴方一体何者なんですか!!」
「蒼龍に選ばれし子、貴様になら名乗ってもいいだろう、我が名はレオン」

帽子の影から僅かに、見えた金色の髪と紫の瞳。
しかし澱んでいる瞳は、アイチに再び悪寒を与えた。

「光の先導者、アイチ・先導・ユナイテッド・サンクチュアリ。
お前には此処で死んでもらう、我が一族の再興のために生贄だ」

「なっ!!」
二つの剣を合わせ、ブラスター・フォトン・ブレードを生み出すと、柄を持つ。
レオンは不気味に笑うと、生暖かい風が吹いてきた、まるでレオンが生み出しているかのような。

「このカードは暫く使えないが・・貴様相手では仕方がない。
伝説のアクアフォースの力、味わうがいい!!オーダー・オブ・ジャスティス!!」

突風と共に、吹き飛ばされそうな力に押されるアイチ。
今此処で自分が避ければ、島と背後にいるミサキ達が倒れる。

「お願い、ロイヤルパラディンの皆!!」
カードケースから全てのロイヤルパラディンのカードを取り出し、円を描くように広がると白く輝き始める。
巨大な青い光を全て受け止め、そしてブラスター・フォトン・ブレードで切り裂いた。

「何!!」
レオンも正面から、切られるとは思っていなかったのか驚いたが
代償としてアイチはロイヤルパラディンのカードが使用不可能になる。

「皆っ・・・・!!」
カードはところどころ黒く変色して、光を失い落ちそうになるのをアイチが受け止める。
無事だったのか、たった三枚、悲しそうにカードを抱きしめるアイチにレオンは。


「フッ・・まぁいい。これでお前は戦う手段を失ったも同然だ!!」
ティア―ナイトを向かわせ、アイチにトドメを刺そうとする。
ロイヤルパラディンを守るように抱きしめているアイチは、避けられないと覚悟したように、目を固く閉じた。







「もう心配いりませんよ、アイチ君」









「えっ・・・」
黒い影が、アイチに抱きつくと誰かがティア―ナイトを剣で切り裂いた。
カードからも真っ二つになるほどの衝撃、そして赤い髪に黒い騎士服、それはアイチ同じ能力を持つ。


「レン・・・さん?」
「はい、アイチ君。大丈夫ですか?」
アイチを片腕に抱きつつ、剣を構える、AL4連合国の帝王、レン・NAL・雀ヶ森。
暗い影を感じない、無邪気な笑顔でアイチを挨拶をする。


「お久しぶりですね、アイチ君」
















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