本島で、4強の二人が戦ったら国が半壊すると離れたところにある無人島をレオンが貸してくれた。
用が済むとレオンはさっさと、帰っていく。
決着が気になる双子は、どっちが勝つか予想をしている。

「トシキ・櫂・ドラゴンエンパイヤじゃないの、実力からして」
「惚れた弱みで大穴、アイチ・先導・ユナイテッド・サンクチュアリを応援しようかなー」

「・・・・・・・・・・・・トシキ・櫂・ドラゴンエンパイヤだ」

レオンは双子に背を向けたまま、すでに勝敗をわかっているかのように話す。
遠ざかっていく島を見つつ、レオンは恋風が吹くなと予感していた。

「でなければ困る」
また明日から焼き魚・刺身・カレーの3パターンしかない、三食にされると
アイチの最後の意地だと、異性の心は風を読むよりも難しいようだ。




「んじゃー、一本勝負な。俺達がしっかり見ているから、アイチ、櫂も文句いうなよ」
三和が二人の間に立ち、手を上げたら戦闘開始の合図となる。
すでに手にはカードが挟まれており、ナオキは木の影の下で見守っていた。

「んじゃ・・・レディ・・・ファイト!」
開始の合図と同時に三和は、その場から避難。
本気のアイチと櫂に戦いに巻き込まれれば、だだではすまないことを知っている。

しかも今回、櫂は勝利に対する想いはとてつもない。
揺らいでいるアイチとで、すでに気持ちから勝敗がわかれている。

「終わりなき探求の果てに辿り着いた最終進化、荒ぶる魂を昇華させ現した我が真の姿!
ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドにライド・THE・ヴァンガード!!!!」

「その気高き魂の輝きで、闇を打ち払え!!光輝の獅子 プラチナエイゼルにライド!!」」

赤色と金色の光が対峙する。
数年のとは違い、もうはっきりと男女の体格の差が明らかだ。

力強く、鎧を纏っている姿に頼もしさと同性でも尊敬すらもできる櫂。
柔らかく、女性らしい身体つきだが、内の秘めた強さは虚無をも退けるアイチ。

「いくよっ、トシキ君!」
担ぐように剣を持つと、櫂に突っ込んでいくと剣と銃をクロスさせて受け止めた。
激しい剣のぶつかり合いの後、アイチはライドし直し、ペリノアの超脚力を生かし

上空に舞うと一気に蹴りを櫂にめがけて、ぶちかます。

「炎獄封竜ブロケード・インフェルノをコール!!」
光と炎のぶつかり合いで、熱の混じる巨大な突風が生まれ、無人島でよかったと三和はレオンに感謝。

「まだっ・・諦めるわけにはいかない!!」
アイチが次に取り出したのは。

「ブラスター・ブレード・リベレーター〈解放者〉にライド!!」

使い慣れた、アイチが最初にライドした記念すべき、生まれ変わったブラスター・ブレード。
白い剣を手にすると、櫂に切りかかると互いに本気だというのに、見ているうちにその『本気』が嬉しいのか
笑っているようにも見え初めているのは気のせいであろうか?

「なぁ・・あいつら・・」
「ああ・・・ったく。素直になればいいのに、互いな・・」

アイチも変なところで素直じゃないな、と想い続けるのももう終わりかと三和は、ちょっぴっと辛くなる。

「お前の気持ちは、よくわかった」
「だったら・・」

「だがっ!!」
光の剣を手にすると、アイチの持っている剣を絡めるように地面に落す。
すぐに別のカードを使おうとするが、その前に抱きしめられてしまう。

久しぶりに抱きしめられる櫂は、前よりも濃厚な男の香りがして、脳から痺れてしまいそうだ。
アイチのカードケースが砂浜に落ちていき、勝敗やっと決まったなとホッとするナオキ達。

「俺も、負けるわけにはいかない。お前の両親にはもう話してある、本人さえよけれけばOKだそうだ。
それと官僚に言ったら両手を上げて喜んでいたが、まあいい・・・・俺の勝ちだ」
指輪の入った箱を開けると、返事もしてないのに指輪を薬指にはめる。
最初から櫂は勝つことを確信して、アイチの最後の意地に付き合った、でなければ対となるように櫂の指に
金色の指輪が光っているはずなどない、悔しい・・図られたはずなのに、どうして嬉しいと感じてしまうのだろうか。

「トシキ君のいじわるだ・・僕が嫌いになれないって・・わかっているのに・・・」
「そうだな、俺はいじわるだな」
アイチを引き寄せると、頭を何度も撫でてあげた。
嬉しいのか、悔しいのか涙が溢れて止まらない、指はアイチの心情を知らずして、輝いている。

憎たらしいほどに。

「アイチ―、断るなら。今のうちだぞー」
事の顛末を知れば、アイチの知り合いの全ヴァンガードが味方になってくれると
三和が櫂にいじわるするかのように遠くから叫ぶ。

「黙れ、三和。貴様・・消し炭になる覚悟はできているんだろうな」
ギラッと櫂に睨まれ、固まる三和。
逆に三和がドレッドノート王国に、永住するべきかともナオキは心底同情する。

「それで、どうなんだ。お前は俺と結婚したいのか?したくないのか、はっきりしろ」
「えっと・・・トシキ君のことは嫌いじゃないけど・・でも僕なんかで・・それにヴァンガードになるっていう夢も中途半端で」

まだ迷っているのか、この後に及んで、踏ん切りの弱いアイチに櫂がさらにキレた。

「相応しくないかと、いう奴がいたら俺が燃やしといてやる。
俺にとって一番大事なのはお前の気持ちだ、もう一度聞く?俺のことが嫌いか」

「うぅんっ・・・好き、大好きですっ・・・・トシキ君・・」
今度はアイチにも流れる涙り意味がわかる、嬉し泣きだ。
そのまま櫂にしがみついてみっともなく泣いた、本当に世界を二度も救った先導者なのかわからないくらいに恰好悪く。


「ふぅ・・やっと・・くっついたか・・・!!」
遠くの空から、黒い気配を感じ、三和とナオキは立ち上がる。
暗雲となってこちらに向かってきているのは、虚無だ。

アクアフォースの封印が完全に解かれ、今まで息を潜めていたがついに動き出した。
レオン達もそれに感づいて、全ヴァンガードと共に自らも出撃していく。

「来ましたね、櫂をからかいに行くついでに、虚無を叩きに行きますか?vv」
レンの後ろにはテツとアサカ、キョウが控えており、城の屋上からいつでも出撃できるように準備はできている。

世界にいる虚無に関わった者、全てが空を強く睨んでいる。
アイチと櫂は互いに手を取り、今までにないくらいに穏やかに笑っている、アイチはともかく櫂は年の数回見られるか
わからない非常に珍しい笑顔をアイチに向けている。

「行くぞ、俺の手を離すなよ、アイチ」
「トシキ君も。僕を離さないで」

「離すものか、絶対に」

絡めるようにして、握るその手には指輪が輝く。
虚無すらも、跳ね返す輝く、美しい光が。



「さぁっ、行きましょう!」
アイチの掛け声と共に、4人はまっすぐと虚無へと向かって飛んでいく。
ナオキはアイチの隣に、三和は櫂の隣に。











黒い闇の中も、君と手を繋いでいるのなら、光を失わない。


アイチは、櫂の光で・・・・誰よりも愛しい人だ。




























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